NY旅行記２日目 - ぢごくみみ

この日のマチネーは"Dirty Rotten Scoundrels"＠インペリアル・シアター。
朝、劇場のチケット売り場ですんなり買えました。『プロデューサーズ』とどっちにしようか迷ったけれど、オリジナルキャストで観られるのは今しかないので、こっちを観ることに決定。
前日の『ヘアスプレイ』は前から15列目くらいのセンターと最高の席だったのですが、この日もセンターではないけれども、やはり前から15列めくらいの良い席。
このミュージカルはスティーブ・マーティンとマイケル・ケインの同名の映画、邦題『騙されてリビエラ』を舞台化したもので、ケインが演じた役をジョン・リスゴーがやっています。ジョン・リスゴーは前にストレート・プレイでは観たことあったけど（M.バタフライ。もちろん女形ではなく、フランス人外交官の役）、歌って踊れるとは。ケビン・スペイシーほどではないけど、うまいっす。
スティーブ・マーティンがやった役の方は、Norbert Leo Butz という人。ミュージカルでは色々賞を取っている人のようです。彼はなかなか頑張っていて、リスゴーの「染色体の一本少ない弟」のふりをするときなどは、スティーブ・マーティンを彷彿とさせる熱演ぶりで（フォークで眼帯を刺すギャグはなかったけど）、笑わせてくれました。しかし「スティーブ・マーティンを彷彿とさせる」っつーことは、裏をかえせば、オリジナリティに欠けるとも言えるわけで。マーティン本人がやってればどれだけ面白かっただろう、とか思ってしまいました。あと、音楽がイマイチだったんだよなあ。楽しかったんですけどね。『オペラ座の怪人』とか『レ・ミゼラブル』なんかのヨーロッパ製ミュージカルよりは好きなんだけど・・・。エンディングがなあ。もっと派手でキャスト全員が出てきて歌って踊っての大団円なら、多少の不満はあっても、全て忘れて「良かったー！」と思えるんだろうけど、メインキャスト3人だけの歌と踊りで終わるんだもん。ちょっと寂しい。
いや、観て損はないですよ。でも『ヘアスプレイ』や『Spamalot!』と比べると星ひとつ少ないって感じ？

さて、夜はいよいよ、メイン・イベントのデンゼル様主演の『ジュリアス・シーザー』＠ベラスコ・シアターです！
一緒に観る約束をしてて、チケットも二人分もっているDちゃんが、渋滞に巻き込まれて開演五分前まで来れなかったので、入り口で観客の観察をじっくりしましたが、今までのミュージカルとは観客層があきらかに違う。観光客はほとんどいなくて、ニューヨーカー、それもセレブっぽい人が多い。特に黒人のかっこいい人が多く、目の保養になりました。
さて、芝居が始まり、何分かしてデンゼル様が舞台に登場するや、シリアスな芝居とはそぐわない「キャー！」「ヒュー！」という声が劇場内に響き、しばらくはセリフが言えないほどでした。生で見るデンゼル様は・・・

か、かっこいい・・・

席はメザニンだったので、顔がはっきり見えたわけではないのですが、全身から出るオーラが他の役者とは全然違ってます。声もいいわぁー。
で、芝居の内容ですが、なんせ400年前の英語なんで、何言ってんだかほとんどわかりまへん。英語科出身で、どんな難しい単語でも知っている秀才のDちゃんでさえ、「半分もわからん」と言ってました。ただ、この芝居を見ることが決まってから、本を（もちろん原語で）読んでいるところが、彼女と私の違うところ。
シーザーを暗殺した後、ブルータスとアントニウスが演説合戦をするのですが、Dちゃんによると「レトリックでアントニウスが勝った」んだそうです。が、なんせ私には何言ってるかよくわからんもんだから、迫力、カリスマ性、抑揚、声、顔、セクスィーさ、全てにおいてブルータスの方がアントニウスより数倍も勝っているように思え、「なんでブルータス様が負けんのよ！きぃ！」となり、天才シェークスピアの脚本も意味なし。それほど、デンゼル様の演説はすごかった。映画『マルコムX』の一番激しい演説を思い出してください。あれを生で見たんですよ♪

シーザー役はしょっちゅう見るんだけど、どこで見たんだか全く思い出せないウィリアム・サドラーでした。最初この配役を見たとき、「あら、映画では脇役なのに、舞台では重要な役をやるのね」と思ったんですが、舞台でもやはり脇役でした。

このショーでも終わったあと、舞台から募金を呼びかけ、デンゼル様サイン入りポスター（限定１００枚）を売ってましたが、そのお値段が３００ドル！「ヘアスプレイ」のがキャスト全員のサインが入って６０ドルだったのとえらい違いや。ま、デンゼル様のサイン入りならEbayでも売れるしね。

終演後、外に出ると、道に黒いリムジンが停まっており、ステージドアからリムジンまで柵がしてありました。その柵をとりかこんでファンが既に何重にも待っています。「うーん、今日はお腹も空いてるし、明日のAvenue Qは7時開演で早く終わるから、明日来よう」と思い、そのままピザを食いに行きました。
次の日は疲れて眠ってしまい、結局出待ちできなかったんですけどね・・・○|￣|＿